MERCI
再生医療教育講座

再生医療教育講座
Model Education for Regenerative Medicine to Children from Ibaraki University

*Merci ... フランス語で「ありがとう」の意。新しい再生医療を科学・医療・社会を含む複合的な領域からなると理解し,研究者,細胞提供者,医療従事者,家族などの患者を想う一人ひとりの努力や心によって私たちみんなが支える社会として捉え,お互いに「ありがとう」ということばを根底に持つ再生医療教育を行う茨城大学発信型のプロジェクト。
 最先端研究の成果により実現化されつつある再生医療に対して、10, 20 年先の私たちの社会を見据え、高校生が「未来の医療という大きな課題について生徒一人ひとりが自らの問題として捉えられる」「個々が意見を持ち、相手の考えを尊重しながら意見交換を通し、よりよい社会を創造するための考えを構築できる」「大学進学、そして社会人という人生を歩む過程の中で、日々進歩する科学技術を理解し、社会に果たす自分の役割を認識できるようになる」ことを目的とし、「再生医療教育モデル講座」を開発することを目指している。
 本研究成果は、現在進められている医療面での QOL 向上に合わせて、社会的な面での QOL 向上に寄与するものと考えられる。


 協力校 茨城県立緑岡高等学校
     江戸川学園取手高等学校

私たちと一緒に再生医療教育を作ってみませんか。
半年や一年かけた講義や、一回だけの講義、あるいは発表会を実施してみたいなど、再生医療や iPS 細胞にご興味のある高校を募集しています。

連絡先 kenji.ishihara.phd@vc.ibaraki.ac.jp

現在までの進行状況。本モデル講座は、以下の 4 つの柱と 2 つの課題によって構成している。

[1] 4 つの柱 
(
1) iPS 細胞と再生医療の基礎的な知識を身につける
 科学的な視点から iPS 細胞と再生医療を学ぶ。生きた iPS 細胞や様々な細胞の標本の観察、再生医療で使われる専門用語 (初期化、分化など) の意味を実習や講義形式で学ぶ。また、 iPS 細胞の生育に必要なフィーダー細胞の役割を理解し、そこから細胞社会と私たちの社会をつなげる。さらに、 iPS 細胞の発見と現状、再生医療実現に向けた省庁、大学等研究機関の取り組みを紹介するiPS 細胞ストック事業についても理解していく。

(2) 未来を覗く
  前半では、再生医療という医療の中心を担う医師という仕事を理解する。後半では、ケースメソッド「20 年後のある日 家族の病気発覚」により医療の選択を仮想体験し、期待・不安・問題点等を想像・提案する。

(3) 科学成果を伝え考える
 前半は、簡単な図形を使って的確に表現する練習を行う。後半では、ワールドカフェ形式で最終発表会テーマ「私たちの考える未来の再生医療社会」について自由に意見を出し合う。

(4) 社会を創造する
 「私たちの考える未来の再を生医療社会」発表会を行う。再生医療について学んだことを踏まえ、様々な職種の社会的な立場と役割を理解し、社会的に QOL の高い再生医療社会を実現するための意見を集約し提案をする。


[2] 2 つの課題 
(1) 新聞の切り抜きミニ発表会
 毎回、講座の冒頭に、担当する生徒がある再生医療に関する出来事について紹介する。材料は、複数の新聞やプレスリリースを基本と、一つの出来事・報道についていくつかの新聞記事を集め、まとめたものを紹介する。本目的は、一つの事柄に関する複数の情報から趣旨を抽出、理解、要約し、伝えるトレーニングである。紹介するにあたり補足的な知識は発表者が調べ、レジュメを作成して全員に配布する。発表はパワーポイントを使用する。時間は発表 5 分とする。

(2) 再生医療年表の制作
 研究を行う際には新規性が求められる。過去にどのような研究が行われ公表されているのか、研究を開始する前にレビューする必要がある。一般社会での報道 (新聞やプレスリリース) 等を用いて再生医療に関する研究の歴史をまとめることによって年表を作成し、先行研究をレビューするトレーニングを行う。

実施例
H27 年度 緑岡高等学校 (SSH クラス) での実施例

日時 時間 テーマ
9 月 26 日 1,2 180 iPS 細胞を知る
10月 26 日 3 90 iPS 細胞と再生医療の現状
10 月 28 日 4 90 未来を覗く
11 月 10 日 5,6 180 科学成果を伝え考える
12 月 19 日 7 90 社会を創造する (中間発表会)
2 月 13 日 8 90 社会を創造する (予行演習)
2 月 21 日 9,10 180 社会を創造する (発表会)
http://www.ibaraki.ac.jp/events/2016/09/051335.html

H28 年度 緑岡高等学校 (SSH クラス) での実施例

日時 時間 (分) テーマ
4 月 19-20 日 1 90 細胞基礎講座1 (担当 緑岡高校教諭)
4 月 26 日 2 90 細胞基礎講座 2 (担当 緑岡高校教諭)
5 月 14 日 3 90 iPS細胞の観察
5 月 28 日 4 90 医療応用に向けた iPS 細胞の作製
6 月 11 日 5 90 医療用 iPS細胞ストック
6 月 23 日 6 90 iPS 細胞の 10 年とその後
7 月 6 日 7 90 科学成果を伝え考える
8 月 3 日 8 90 ケースメソッド
9 月 6 日 9 90 ケースメソッド討論会
9 月 11 日 10 180 社会を創造する (発表会)
https://www.facebook.com/ibadai.mito/posts/690989074386099

H28 年度 江戸川学園取手高等学校 (医科コース) での実施例

日時 時間 テーマ
9 月 20 日 1 50 iPS 細胞と再生医療の現状
10月 18 日 2 50 未来を覗く 「ケースメソッド 20 年後のある日 家族の病気発覚」
未定 3 発表会